中学国語「仮名世説の対策問題」高校入試対応です。『仮名世説』は、中学国語の古文の中でも高校入試でよく出題される作品の一つです。文章の大意や教訓、重要な古語・文法など、しっかり押さえておくことが得点アップのカギになります。本記事では、入試に頻出の問題を厳選し、わかりやすい解説とともに紹介します。演習を重ねて、本番に自信を持って臨みましょう!
仮名世説の対策問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
(「仮名世説」から)
(注)
盤珪禅師=臨済宗の高僧。
播磨=現在の兵庫県南西部。
結制=僧が夏の三か月の間、外出を禁じて座禅(ざぜん)や修行を行うこと。
(1) 本文中の ( )に入れる人物として最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 禅師
2 衆僧
3 賊僧
4 悪僧
(2) 下線1「衆僧大いに腹を立て」とあるが、その理由として最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 衆僧が何度賊僧の盗んでいるところを目撃しても、禅師は決して追放しようとしなかったから。
2 衆僧がものがなくなったと何度申し出ても、禅師は笑うばかりで話を聞こうとしなかったから。
3 衆僧が何度賊僧を追放しても、かわいそうに思った禅師がそのたびに連れ戻してしまったから。
4 衆僧が賊僧を追放するよう何度訴えても、禅師は話を聞くだけで何もしてはくれなかったから。
(3) 下線2「退散したくば、勝手たるべし。」とあるが、その意味として最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 出て行かないなら、こちらが出て行こう。
2 追い出したいのなら、好きにするがよい。
3 追い出さないなら、こちらが出て行こう。
4 出て行きたいのなら、好きにするがよい。
(4) 下線3「衆僧大きに感服しぬ。」とあるが、その理由として最も適するものを次の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 禅師が、善い行いをする僧が増えていけば、悪心の者は自然にこの結制から退散していくはずであると考えていたから。
2 禅師が、賊僧を追放してしまうのではなく、その悪心を改めるよう導くことにこの結制の意味があると考えていたから。
3 禅師が、衆僧の中にまぎれてしまっている悪心の僧を見つけ出すことこそが、この結制の目的であると考えていたから。
4 禅師が、一人残らず衆僧が退散してしまったとしても、自分だけは最後までこの結制に残っていようと考えていたから。
(5) 本文の内容と一致するものを次の中から一つ選び、その番号を書きなさい。
1 衆僧の度重(たびかさ)なる訴えに反省した賊僧は、結制にとどまることはできないと考え、自分の意志でその場から去ろうと決心した。
2 衆僧の報告を聞いた禅師は、何としても賊僧を追い払い、道徳心の厚い衆僧を一人も失いたくはないと考えるようになった。
3 禅師の言葉に心を動かされた賊僧は、皆の前で自分のそれまでの罪を告白して過ち(あやまち)を改め、善い行いを心がける僧となった。
4 禅師の教えに触れた衆僧は、一方的に賊僧を追い払おうとしたことを反省して、賊僧の言いぶんも聞いてみようと相談した。
仮名世説の対策問題の解答
(1)1
(2)4
(3)4
(4)2
(5)3
〈口語訳〉
盤珪禅師が、播磨で結制を行っていたとき、僧たちが数百人来て集まっていたところ、その中に盗賊の僧がいて、誰それもお金をなくした、誰それも衣服を盗まれたなど、毎日なくなる物があって、人々が疑いあって困ったことになったのだが、後になって盗みをはたらいた僧が、おおかたわかったので、皆で禅師に申し上げて盗賊の僧を追放しようと願ったところ、 は聞いて確認してそのままにしておいたので、数日後、大勢の僧がまたこのことを禅師に訴えた。禅師はなおもそのままにしておかれた。このようなことが三、四度に及んで、それでもなおそのままなので、僧たちはたいそう腹を立てて、「もし盗賊の僧を追いはらうことがないならば、私たちは一人残らず出て行こう。」と言ったところ、禅師が笑って、「出て行きたいのなら、好きにするがよい。仏の道を悟り善い行いをする僧は教える必要はない。この結制もそのような悪い心の者を教えさとすためだから、悪僧だからといってやたらに追い出すべきではない。」とおっしゃったことに、多くの僧はたいそう感服した。あの盗みをはたらいた僧もこれを伝え聞いて深く感動し、座の中に進み出て、盗みをしたことなどを自ら自分の罪を告白してそれまでにした悪いことを直し、道徳にかなった行いをしようという意志の強い僧となったということである。
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