中学理科の実験毎の観察のポイント一覧|これだけは押さえておく!です。高校入試の理科で高得点を狙うためには、実験や観察に関する知識をしっかりと身につけることが欠かせません。特に、実験結果の予測や考察、観察で得られる情報をもとに問題を解く力は、入試で頻繁に問われるポイントです。
高校入試対策・理科: 実験・観察のポイントを押さえよう
この記事では、実験や観察の際に特に注意すべきポイントを「出る順」で紹介し、試験対策に役立つ知識を効率よくまとめました。実験問題に強くなるためのコツを押さえ、入試直前の追い込みにも役立ててください。
【第1位】水とエタノールの混合物の加熱実験における状態変化(蒸留)

沸点の違いを利用して混合物を分離する実験です。
重要ポイント
- エタノールの沸点:約78℃、水の沸点:100℃
- 温度計の球部は枝付きフラスコの枝の部分に設置
- 最初に出てくる液体はエタノールの濃度が高い
- 冷却水は下から入れて上から出す(対向流)
注意事項
エタノールは可燃性なので火気に注意。加熱は弱火で行い、急激な温度変化を避ける。
- 蒸留は、物質の沸点の違いを利用して行う実験。
- 集めた液体をの性質確かめる方法として、においをかぐ(エタノールはにおいがある。)、火を近づける(エタノールをよく含むほど、燃える)
【第2位】炭酸水素ナトリウムの熱分解

重曹を加熱して分解反応を観察する実験です。
重要ポイント
- 化学反応式:2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂
- 生成物:炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素
- 石灰水で二酸化炭素の発生を確認
- 加熱前後の質量変化を測定
注意事項
試験管の口は少し下向きにして、水滴が逆流しないようにする。加熱は試験管の底から1/3程度の部分を均等に。
- 炭酸水素ナトリウムは、炭酸ナトリウム、水、二酸化炭素の3つの物質に分解される。
- 炭酸水素ナトリウムよりも、炭酸ナトリウムの方が、水によく溶け、水溶液のアルカリ性も強い。
【第3位】光合成・呼吸の対照実験

光の有無による植物の働きの違いを調べる実験です。
重要ポイント
- 明所:光合成>呼吸 → 酸素増加、二酸化炭素減少
- 暗所:呼吸のみ → 酸素減少、二酸化炭素増加
- BTB溶液の色変化で二酸化炭素濃度を判定
- デンプン検出にはヨウ素液を使用
注意事項
葉を脱色する際はエタノールを直火で加熱せず、湯煎で行う。実験前に植物を暗所に一晩置く。
- 対照実験は、調べたい条件だけを変えて、他の実験を変えずに行う実験
- BTB溶液の色の変化の違いに着目
【第4位】ばねののび(フックの法則)

力とばねの伸びの関係を調べる実験です。
重要ポイント
- フックの法則:F = kx (F:力、k:ばね定数、x:伸び)
- 力と伸びは正比例の関係
- グラフは原点を通る直線になる
- 弾性限度を超えると比例関係が成り立たない
注意事項
おもりは静かにつけ外しし、ばねを急激に伸ばさない。測定は目盛りと垂直な位置から読み取る。
- 力の大きさの単位は、ふつう、100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとする。
- ばねののびは、ばねにはたらく力の大きさに比例する。(原点を通る直線のグラフになる。)
【第5位】凸レンズと像

凸レンズによる像のでき方を調べる実験です。
重要ポイント
- 焦点距離の2倍より外側:縮小・倒立・実像
- 焦点距離の2倍の位置:等大・倒立・実像
- 焦点距離の2倍と焦点の間:拡大・倒立・実像
- 焦点より内側:拡大・正立・虚像
注意事項
実験室を暗くして像を見やすくする。レンズは汚れや傷がないものを使用し、光軸と垂直に設置する。
- 凸レンズから物体までの距離と凸レンズから像までの距離の変化による像のようすの違いに注意
- 凸レンズから物体までの距離と凸レンズから像までの距離が等しいときは、焦点距離が2倍で、像の大きさは物体と同じになる。
- スクリーンにうつる像は、物体と上下左右が逆
【第6位】電流と電圧の関係

電圧と電流の関係を調べる実験です。
重要ポイント
- オームの法則:V = IR (V:電圧、I:電流、R:抵抗)
- 抵抗が一定なら電圧と電流は正比例
- 電流計は直列、電圧計は並列に接続
- グラフの傾きが抵抗値を表す
注意事項
回路を接続する前にスイッチは切っておく。電流計・電圧計の極性と測定範囲に注意する。
- 直列回路と並列回路における電流、電圧、抵抗の大きさの違いに注意
- 直列回路では、各抵抗に加わる電圧の和が電源の電圧と等しくなる。
- 並列回路では、各抵抗にかかる電圧が電源の電圧に等しい。
【第7位】斜面を下る台車の運動

斜面での物体の運動を記録テープで調べる実験です。
重要ポイント
- 等加速度運動:時間とともに速度が一定の割合で増加
- 記録テープの間隔が段々広くなる
- v-tグラフは傾きのある直線
- 斜面の角度が大きいほど加速度が大きい
注意事項
記録タイマーの周波数(50Hz)を確認。台車の摩擦を小さくし、テープがたるまないよう注意する。
- 記録タイマーの打点の間隔は時間とともに広くなる。
- 斜面の傾きを大きくすると、斜面に沿った下向きの力が大きくなる。
- 摩擦のない水平面では、一定の速さで一直線上を動く運動(等速直線運動)になる。
【第8位】消化と吸収の実験

消化酵素の働きを調べる実験です。
重要ポイント
- アミラーゼ:デンプン → 麦芽糖(37℃で最も活発)
- ペプシン:タンパク質分解(酸性条件で活発)
- ベネジクト反応で還元糖を検出
- 温度とpHが酵素活性に影響
注意事項
ベネジクト液の加熱は湯煎で行う。実験後の試験管は十分に洗浄し、薬品の取り扱いに注意する。
- 対照実験で、水だけではデンプンが変化しないことを確かめる。
- だ液には、でんぷんを分解し、ブドウ糖の分子がいくつかつながったものに変えるはたらきがある。
- 40℃の湯につけるのは、ヒトの体温に近い状態にするため。
【第9位】太陽の観察

太陽の日周運動と年周運動を観察する実験です。
重要ポイント
- 影の長さと方向の変化を記録
- 南中時刻と太陽高度の季節変化
- 投影法で黒点の観察が可能
- 地球の自転・公転が原因
注意事項
絶対に太陽を直視してはいけない。観察は投影板を使用し、遮光板で目を保護する。
- 黒点の位置が少しずつ移動していくのは、太陽が自転しているから。
- 黒点の形は、周辺部では縦に長いが、中央にくると横に広がってみえるのは、太陽が球形だから。
【第10位】地層の観察

地層の重なりや化石から地球の歴史を読み取る観察です。
重要ポイント
- 地層累重の法則:下の層ほど古い
- 示準化石:その時代を特定する化石
- 示相化石:当時の環境を示す化石
- 火山灰層は広範囲に同時に堆積
注意事項
露頭観察では落石に注意し、ヘルメット着用。化石採集時は周囲の安全を確認し、許可された場所で行う。
- 地層に含まれる粒の大きさは、れき>砂>泥
- 粒が大きいものは、河口近くで堆積し、粒が小さいものは、沖合いで堆積したことがわかる。
- 示相化石は、地層が堆積した当時の環境がわかり、示準化石は、地層が堆積した時代がわかる化石。
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