高校受験対策中学国語「沙石集の対策問題」です。
沙石集の対策問題(中学国語)
次の古文を読んで、後の問いに答えなさい。
常州の東城寺に、円幸教王房の法橋とて、寺法師の学生ありけり。他事なく正教に眼をさらし、顕密の行怠りなき上人なり。世間のことは、無下に無沙汰なり。
ある時、弟子共に語りていはく、「世間の人、愚かにして、もののはかりごと不覚なり。法師、興あること案じ出だしたり。杵一つにて、臼二つつくやうあり。一つの臼は常のごとく置き、一つの臼は空に下(しも)にて釣るべし。さて、杵を上げ下(くだ)さんに、二つの臼を搗くべし」と言ふ。弟子のいはく、「上の臼には物がたまり候ふべくばこそ。何を搗き候ふべき」と言へば、「この難こそありけれ」とて、つまりにけり。<沙石集より>
(1) 下線部「つくやう」を現代仮名遣いで書きなさい。
(2) 下線部「この難こそありけれ」について、次の各問いに答えなさい。
➀この文は、途中に「こそ」が入ったことで文末の語の活用形が変化したものである。このような古文特有のきまりを何というか書きなさい。
➁円幸の考えた方法では、一本の杵で二つの臼を同時につくことはできない。 それはどのような「難(欠点)」があるからか。
(3)第二段落に示された逸話(エピソード)から、円幸はどのような人物だということがわかるか。その人物像を最もよく表している部分を、古文中から十五字以内で書き抜きなさい。(句読点・符号も字数に含める。)
沙石集の対策問題(中学国語)の解答・解説
(1) つくよう
下線部の「やう(yau)」は「よう (yô)」に直す。
(2)
➀係り結び(の法則)
「こそ」は係りの助詞なので、文末が終止形の「けり」から已然形の「け れ」に変化している。このようなきまりを「係り結びの法則)」という。
➁(例)下向きにつるした臼の中には物がたまらない
円幸の考えた方法は、「一つの白をいつものように下に置き、もう一 つの臼を下に向けて上からつるせば、杵を下げるときに下の臼を、杵 を上げるときに上の臼をつくことができる」というものである。しかし、 この方法では、下に向けてつるした臼には何も入れられないので、臼さす
(3) 世間の事、無下に無沙汰なり
円幸については、第一段落でどのような人物か説明されている。臼の逸話 は、円幸が世間のことにうとい様子を表しているので、「世間の事、無下にの中身をつくことはできない。 の中身をつくことはできない。無沙汰なり」を書き抜く。
〈現代語訳〉
常州の東城寺に、円幸という、園城寺で学んだ僧がいた。仏教を学ぶのに余念がなく、顕教や密教などの仏教の修行に熱心に励んだ上人で、世間のことは、ひどく知らなかった。あるとき、弟子たちに、「世間の人は愚かなので考えもつかないことを 私は思いついた。一つの杵で二つの臼をつく方法があるのだ。一つの臼 をいつものように下に置き、もう一つの臼を下に向けて上からつるせば いいのだ。そうして杵を上げ下げすれば、二つの臼を同時につけるはずだ」 と言った。弟子が、「上につるした臼に物がたまるのでしたら、つけもし ましょうが」と言うと、「その欠点があったのだなあ」と、言葉に詰まってしまった。
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