中学生用「和歌・短歌の表現技法まとめ」です。和歌や短歌については、それほど出題されることはありませんが、最近は、それでも散見されるようになりました。特に、私立入試では注意が必要です。
・短歌…近世以降に書かれたもの
和歌について
形式や表現方法についてまとめていきます。
形式
- 短歌…(五七五七七)の三十一音からなる。
- 長歌…(五七五七五七 … … 五七)
調べと区切れ
- 五七調 二区切れ(五七/五七七)・四区切れ (五七五七/七)
- 七五調 三区切れ(五七五/七七)
和歌・短歌の表現技法
- 序詞…特定の語句を導く言葉。後の続く語句は決まっておらず、内容を具体的に表す働きがあるため、省略しないで訳す。
- 枕詞…後に続く特定の語句を修飾する、五音の言葉。五七調のリズムを整え、現代語訳しないことも多い。
(例)春過ぎて夏来るらし白たへの衣干したり天の香具山 - 掛詞…一つの語に二つの同じ音の語の意味を重ねる技法。
(例)聞く/菊 眺め/長雨
日本三大和歌集
- 万葉集 奈良時代 素朴
- 古今和歌集 平安時代初期 繊細素朴
- 新古今和歌集 鎌倉時代初期 象徴的
和歌の対策問題
次の和歌を読んで、あとの問いに答えなさい。
A 秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花 (山上憶良「万葉集」)
B 今日降りし雪に競ひて我がやどの冬木の梅は花咲きにけり (大伴家持「万葉集」)
C 多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだ愛しき(東歌「万葉集」)
D あしひきの山のしづくに妹待つと我立ち濡れぬ山のしづくに(大津皇子「万葉集」)
E ひとはいさ心もしらずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける(紀貫之「古今和歌集」)
(1) 次の表現技法が用いられている和歌をすべて選び、記号で答えなさい。
➀枕詞
➁係り結び
➂序詞
④体言止め
(2)Bの和歌で、梅の花が競っているものを、和歌の中から漢字一字でぬき出 しなさい。
(3) Eの和歌は何句切れか漢数字で答えなさい。
和歌の対策問題の解答・解説
(1)➀D ➁ C・E ➂C ④A
(2)雪
(3)二(句切れ)
(1) Dの「あしひきの」は「山」にかかる枕詞。Cの「多摩川にさらす手作り」は、「さらさらに」に係る序詞である。C、係助詞「ぞ」は上代(奈 良時代)では「そ」という形でも用いられた。「何そ」の「そ」がそれで
ある。それで、「愛し」という形容詞が連体形「愛しき」で結ばれている。 Eは「ぞ…ける」の係り結びが用いられている。Aだけは、「七種の花」 と、歌の最後が体言で止められている。
(2) 「雪に競ひて」とある。雪の美しさに競うように、梅の花が咲いたので
(3) 「人の心は、さあどうだろうか。で、いったん意味が切れるので、二句 切れ。
<現代語訳>
A 秋の野に咲いている花を指を折りながら数えてみれば七種類の花があ
(原歌はこのあとに、いわゆる秋の七草の名前が挙げられている。)
B 今日降った雪に負けまいと、私の家の庭先の冬枯れの梅は花を咲かせ た。
C 多摩川にさらす手作りの布のように、さらにさらに、どうしてこの子 はこんなにいとしいのだろうか。
D いとしい人を待っていると、私は山の木々やがけの岩かどから落ちる 水滴ですっかり濡れてしまった。
E そうおっしゃるあなたは、さあどうか、心の中のことはわかりません。 でも、昔なじみのこの土地のほうは、確かに梅の花が昔に変わらない香 りをはなって、咲きにおっています。
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